夢みたもの
「確かに年もあるかもしれませんけど。崇さんは無理し過ぎなんです」


崇さんにコーヒーカップを渡しながら、美野里さんはため息を吐く。


「余り根をつめると倒れちゃいますよ?」

「分かった、分かった。気を付けるよ」


崇さんは苦笑してコーヒーを口に運ぶと、お手上げというように、空いた左手をヒラヒラと振ってみせた。



「それにしても、このコーヒー苦いね?」

「眠気覚ましに濃〜くしときましたから」


ニッコリ笑った美野里さんに崇さんは小さく笑い返すと、あたしの手元に視線を送ってきた。


「ひなこちゃん・・・それ、1つ貰っても良い?」

「え?・・あ、はい」

「眠気は覚めそうだけど、何か欲しくなったよ」

「疲れた体には、コーヒーだけだと胃に負担がかかるから、甘い物と一緒で丁度良いんです」


「後で軽めの食事を用意しますね?」そんな気遣いを見せて、嬉しそう微笑んだ美野里さんは、再びクリームの袋を手にした。



「それじゃ、遠慮なく頂こうかな?」


崇さんはそう言って、出来上がったシュークリームに手を伸ばす。

取りやすいようにトレーを近付けていたあたしは、ふと思い立って、咄嗟にトレーを引っ込めた。



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