夢みたもの
「それじゃ、悠里の様子を見てくるよ」


コーヒーを飲み干すと、崇さんは椅子から立ち上がった。


「後で食事を持っていきますね?」

「ありがとう」


眼鏡を押し上げながら微笑んだ崇さんは、まだ眠気の残る足取りで店内に入って行く。

器具の片付けを始めていたあたしは、2人のやり取りを耳にしながら、気付かれないように小さく笑った。



『美野里さんは良い人だし、崇叔父さんには幸せになって貰いたいけど・・・』


そう言っていたユーリ。



一緒に居ると、美野里さんの気持ちは手に取るように分かる。

崇さんと美野里さんが幸せになったら、ユーリも喜ぶかもしれない。

そう思った。



「ところで、ひなこちゃん?」

「はい?」

「誰に聞いたの?」

「え?」


ニコニコ笑って崇さんの後ろ姿を見つめていた美野里さんは、崇さんが店内に消えた瞬間、勢いよくあたしを振り返った。



「悠里君でしょ!?」

「え?」

「悠里君しか居ないわよね?ひなこちゃんに余計な事話したの・・・!!」

「・・・・」

「やだ、恥ずかし過ぎる!ちょっと、ひなこちゃん?」

「・・・はい?」

「い〜ぃ?大人の事情に首を突っ込むものじゃないわよ!?」

「・・・・・」


頬を真っ赤にした美野里さんは、熱を冷ますように頬に手を当てた。



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