夢みたもの
どうしてユーリから聞いたと分かったのか疑問だった。

でも、美野里さんの様子からその質問を口にするのもはばかられて、あたしは慌てて頭を下げた。


「すみません」

「まぁ・・・ね。ひなこちゃんの気遣いは嬉しかったわ」


「でもね?」美野里さんはそう付け加えると、大きなため息を吐いた。


「大人には大人の事情があるのよ?」

「・・・はい」

「学生の頃みたいに、気持ちをぶつければ良いもんじゃないの。大人としてのプライドもある、仕事もあるし、恋愛だけで頭を一杯にしておく訳にはいかない。臆病って言ったらそれまでだけど、私ぐらいの年になると、恋愛は一筋縄じゃいかないものなの」

「はい」

「・・・ま、そうは言いつつ、実は私、崇さんには何回か告白して振られてるのよねぇ・・・」

「・・・え!?」


驚いて顔を上げると、美野里さんは相変わらず頬を赤く染めたまま、フフッと楽しそうに笑った。


「そうなの!実は振られてるのよ」

「・・・・」

「私が20歳の時に出会ったから・・・」


指折り数えながらそう呟いていた美野里さんは、やがてハッとした表情でまばたきをすると、小さく苦笑した。


「やだぁ・・・もう3回は確実に振られてる」

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