夢みたもの
『僕は違う』



あたしの言葉に一瞬眉をひそめたユーリは、ノートにそれだけ書いてあたしに見せた。


「違う?」



『僕は、何もかも捨てたから』



「・・・・」



『昔はそうだったかもしれない。でも、今は違う』



辛そうに口元を歪めたユーリは、あたしの視線に気付いて一瞬僅かに眉根を寄せた。

そして、近寄りがたい雰囲気を醸し出したユーリは、次の瞬間、口元に浮かんだ感情さえ、押し殺すように無くしていく。



後に残ったのは、完全無欠の人形のようなユーリ。


その変化に驚いたあたしは、ユーリから視線を外す事が出来なかった。



軽い冗談。

ユーリが笑ってくれたら・・・そう思ったのに、ユーリの触れてはいけない部分に触れたと実感した。


ユーリが感情を殺してしまったのは、家族を失った事だけが原因じゃないのかもしれない。


何の感情も見せず、ただあたしを見つめ返してくるユーリが余りにも痛々しくて、あたしは慌ててユーリから視線を外した。


「ごめんなさい」


その言葉しか出てこなかった。


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