夢みたもの
「見かけによらず、ひなこちゃんは負けず嫌いなんだね?」

「そう・・・ですか?」

「ご両親で言うと・・・お母さん似かな?」

「・・・・・え?」


一瞬反応が遅れたあたしは、少し間を置いた後、小さく苦笑した。


「両親どちらに似てるのかは・・・・・分かりません」

「そう?」


崇さんがそう言って首をかしげた時。

あたしの視界を横切ったユーリが、崇さんの目の前にノートを突き付けた。


ノートを見た瞬間。

崇さんは驚いた表情でユーリを見上げる。


「・・・悠里・・」


明らかに動揺している崇さんに、ユーリが更にノートを突き付けると、崇さんは表情を曇らせてノートを見つめた。


そしてその様子を、あたしはただぼんやり眺めた。



昔からこの手の話は苦手だった。

学校行事に来た両親を見たクラスメイトから、「ひなこちゃんはお母さん似?」と言われる度に、曖昧に笑って誤魔化した。

そして、そう言われる度、心の何処かでホッとする。


知らない人から見れば、あたしは母親似。

ちゃんと親子に見える。



そんな事が凄く嬉しかった。



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