夢みたもの
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「おかえり、ひなこ」


STRAUBからの帰り。

家の門に手を掛けた処で、あたしは聞き慣れた声を聞いた。

振り向くと、家の門に寄りかかった航平ニコニコ笑ってあたしを見ている。


「どこ行ってたの?」

「航平こそ、どこか出かけるの?」

「ん〜散歩・・・かな?」


航平はそう言うと、ニコニコ笑って首をかしげた。


「ひなこも一緒にどう?」

「・・・いいけど」


正直な処、STRAUBの帰りに航平と会うのは気まずかった。

まだユーリの事を話していないからなのか、後ろめたい気持ちになる。

あたしは航平の隣で、悶々としながら足を動かした。


「寒くない?」

「・・・うん」

「秋ももうすぐ終わりだね」


一足早く、クリスマス用イルミネーションで庭の木が光っている家を見ながら航平はそう言った。


「何か、1年って早いよね?」

「・・うん」

「それだけ大人になったって事かもしれないけどさ?」

「・・うん」


「・・・ひなこ、好きな人出来た?」


「・・う・・え?・・えぇ!?」


驚いて顔を上げると、航平は笑いを堪えた表情であたしを覗き込んだ。


「何かぼんやりしてるからさ?不意打ちで聞いたら教えてくれるかなぁ?・・・なんて思って」

「も〜、ビックリさせないでよ」


あたしは胸を撫で下ろしてそう言った。


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