夢みたもの
「やっぱり。不意打ちで聞いても駄目かぁ・・・」

「も〜、そうじゃなくて!そんな相手居ないってば!・・・航平しつこい!!」


航平の胸に狙いを定めて拳を振り上げると、航平は小さく笑って、振り下ろしたあたしの拳を包み込むように受け止めた。


「残念。力じゃ負けないよ?ま、ムキになったひなこも可愛いけど・・・」

「・・・・・」


航平はあたしの手を掴んだまま、ニッコリ笑ってあたしを見る。



「ねぇ?ひなこが最近、忙しそうにしてるのは何で?」

「・・・それは・・・」

「授業に集中出来ない程、気になってる事は何?」

「・・・・・」

「図書室での調べ物は何の為?」

「・・・・・」



やっぱり。

やっぱり気付かれてた・・・


無意識に視線がさ迷う。

航平には知られたくなかったのに・・・



「俺にも言えない事?」

「・・・・・」



何も答えられない。


航平の追及から逃げようとしたけれど無駄だった。

あたしの顔を覗き込んでくる航平の瞳は真剣で、それは、痛い程強く握られている手からも感じ取る事が出来る。



どうしたら良いんだろう?


あたしは航平の手を見つめて唇を引き結んだ。


ユーリの事を話すのは、まだ早い気がする。


でも、このままだと・・・・


目の前に居る航平の信用を無くしそうで・・・、それだけは絶対に嫌で・・・、どうしたら良いのか分からなかった。



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