夢みたもの
「・・・・えっ!?」


あたしは反射的に顔を上げた。


今、航平は何て言った?


驚き過ぎて声が出なかった。

ただ呆然と航平を見上げると、そこには、いつもの笑顔を無くした、真剣な表情の航平が居る。



「・・・何言ってるの?突然・・・」

「突然じゃないよ」


航平はあたしを真っ直ぐ見つめてそう言った。


「あの編入生が来てから、ひなこは変わったよ?」

「・・・・・」

「ソワソワして・・・上の空で・・、臨床医学の本で調べものって・・・なに?」

「それは・・・ただ興味があったから・・・」

「本当にそれだけ?」

「・・・・何でそんな事聞くの?」


あたしは、航平を真っ直ぐ見つめ返してそう言った。


「編入生は関係ないよ。ねぇ、どうしてそんな事聞くの?大体、航平こそ最近変だよ!?前はこんなに、あたしに干渉してこなかったじゃない・・・!!」

「それは、・・・ひなこの事が心配だからだよ?」

「心配して欲しいなんて言ってない!」


あたしはそう言うと、捕まれていた手を振りほどいた。



航平とケンカなんてしたくない。


でも、ユーリの事がバレそうで、不安と焦りと・・・よく分からない感情で胸の奥がチリチリ痛い。

その痛みは、航平に向き合う程強くなる気がした。


「・・・放っておいてよ・・・」

「ひなこ?」


首をかしげた航平に、あたしは息苦しさに耐えながら言った。


「航平には関係ない!あたしの事は放っておいて!!」


< 254 / 633 >

この作品をシェア

pagetop