夢みたもの
「・・・・・」


言い過ぎた。


思わず口を突いて出た言葉に、あたしは慌てて口を押さえた。



あたしが口走った瞬間の航平の顔。

それは、言葉で表現出来ない程、あたしが今までに見た事が無い航平の顔だった。



航平を傷つけた。

その事が重く心にのしかかる。


さっきよりも強く・・・胸がキリキリと痛み始めて、あたしは航平から視線を外さずにはいられなかった。



「・・・・・ごめん・・」


やがて、気まずい雰囲気を破って航平が呟いた。


「ひなこの言う通りだ」


そう言いながらも、航平の声は重く、微かに震えているように聞こえる。



「俺の考え過ぎだよね・・・?」

「・・・・・」

「ひなこは編入生と関係ない。・・・・そうだよね?」

「・・・・・うん」

「・・・そっか・・」


呟くようにそう言って、航平は微かに微笑んだ。

その表情に、あたしの胸が針を刺されたみたいにズキリと痛む。



嘘なのに。

嘘をついてるのに。



きっと航平は分かってる。


だから、辛くて悲しそうな表情をしているのに、それ以上の詮索をしてこない。


「帰ろっか?」


少し足早で歩き始めた航平の後に続きながら、あたしはズキズキ痛む胸を押さえた。

手にしたバックの中で、航平にあげる予定だったシュークリームが入った箱がカサリと音を立てる。


その音は、まるであたしを責めるように、耳元で大きく響いた。



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