夢みたもの
「いいから説明して貰うわよ?」


葵はズイっと一歩前に踏み出して、あたしとの距離を縮めた。


「昨日、堤君とひなこが先に帰った後‥皆、一旦は落ち着いたの。『何だやっぱり、2人に限ってそんな事ある筈ない』って」

「‥‥」

「それなのに‥一夜明けたら、2人はバラバラに登校するし、堤君はいつもの比じゃないぐらいに落ち込んでるし‥‥何かあったって思わない方がおかしいでしょ!?」

「‥‥」

「おかげで、噂が急速に広まってる‥‥ねぇ?何があったの?」

「‥‥」

「黙ってないで答えなさい」


葵は語気を強めると、あたしの腕を掴んで揺さぶった。


「‥いぃ ひなこ?あなた達2人は、普段から校内で噂されやすい存在なの。そこに、さらに噂をかっさらう編入生が現れた。‥‥しかも彼は、一度ひなこを挟んで堤君と揉めてる。状況は‥ひなこにとって良くないの」


「‥‥」


「ひなこにとっては不本意だろうけど‥‥噂が落ち着くまで辛い状況になると思うわ‥」


「だから教えて」辛そうにそう付け加えた葵に、あたしは俯いて口を開いた。



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