夢みたもの
━・・━・・━・・━

「本当‥、バカばっかりで嫌になるわ」


噂が広まってから1週間後の昼休み。

葵はそう言って、お弁当の卵焼きにフォークを突き刺した。


噂が広まって以来‥‥

葵が言った通り、学校はあたしにとって、居心地の良い場所ではなくなった。

クラスメイトから無視されて、冷たい目で見られたり、陰口を言われたりするのは日常茶飯事。

それでも耐えられるのは、あたしの隣に葵が居てくれるから‥‥

葵の強さを見る度に、あたしも強くならなくては‥と励まされる。



‥‥ただ‥、

噂が広まってから‥‥鞠子はあたしから離れて行った。

誰かと一緒になって陰口を言ったりしないけれど、休み時間になると教室から居なくなる。

自然、お昼は葵と2人で摂る事が普通になった。



「全く‥たかが高校の男子生徒よ?いつまでグチグチ言ってるつもりかしら?」

「‥‥」


あたしは箸を動かして視線を落しながら、不機嫌そうに口を動かす葵を盗み見る。


葵は少しだけ‥今までより怒りやすくなった。

きっと、色々気を遣って無理をしてくれているから‥‥

葵がイライラとする度に、あたしは申し訳ない気持ちで一杯になった。



< 287 / 633 >

この作品をシェア

pagetop