夢みたもの
知らない処で、身に覚えのない噂が広まっている‥‥

最近、冷たい目で見られたり、陰口を言われているのは知っていたけれど、内容までは知らなかった。


二股?

‥他校の生徒?

‥‥援交‥?


男子に触られるのも耐えられないあたしが‥‥?

馬鹿馬鹿し過ぎる。


‥‥でも‥、

身に覚えがないからこそ、それは怖く感じた。


噂は止められない。

一度広まり始めた噂は、脚色されて大きくなる。

偽物の雪村ひなこが一人歩きしていると思うと、凄く怖くなった。



「‥それで?結花はその噂を信じてるわけ?」


葵の呆れ声が聞こえてきて、あたしはハッと我にかえった。


「今まで接してきて、ひなこがどんな性格か分かった上で、そんな事をするって思ってるわけね?」


「‥‥私だけじゃありません」


呟くような声が聞こえた。


「私だけがそう思ってるわけじゃない‥ここに居る皆がそう思ってます!!」


「‥‥そう‥、がっかりだわ‥」


葵のため息が外まで聞こえてくる。

あたしはまだ、その場から一歩も動けなかった。



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