夢みたもの
崇さんや美野里さんが、時間を作っては顔を出して心配してくれるのが心苦しいけれど、学校で息つく余裕がないあたしにとって、STRAUBは安らげる場所になりつつあった。


ただ時々、一人になりたい時がある。

今みたいに、少し落ち込んだ時‥‥

家に帰る時には、いつも通りのあたしで居られるように。


人気の無い特別棟の廊下。

ここなら誰にも気兼ねしなくて済む。


あたしは窓を開けると、日が沈みかけている外を眺めた。

冷たい空気が頬に当たって、落ち込んでいる心に渇を入れる。


そう、負けてなんていられない。

あたしが強くならないと、ずっとこのままだ。


目を閉じて深呼吸する。

そしてゆっくり目を開けた時。



「雪村さん‥よね?」


背後で人の気配がした。


声の感じから、相手が好意的でない事はすぐに分かる。

あたしは一瞬息を飲んだものの、すぐにため息を吐いてゆっくり振り返った。



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