夢みたもの
「‥‥あのさ、質問してるんだから答えてくれない?」

「駄目だよ、アヤ。‥きっとこの子、ドイツ語じゃないと理解出来ないんだって」


隣に立っている小柄でショートカットの子が、皮肉気に笑ってそう言った。


「だから、あたし達の言葉は理解出来ないんじゃない?」


アヤと呼ばれた子は、ショートカットの子を一瞥すると、肩をすくめてあたしを見た。


「そんな訳ないじゃん!?‥ねぇ、‥黙ってるなんて卑怯だよ!?」

「‥‥」

「堤君と別れて、編入生と付き合ってるって‥本当なの?」


「‥‥それは‥」


‥‥事実じゃない。

でも、第三者から見たら、そう見えるんだろうと思う。

そして‥、その理由を説明する事は出来なかった。


「それは‥何なの?」


詰め寄るアヤという子を見つめたまま、あたしは一息吐いて口を開いた。


「それは‥、言いたくないし、言う必要があるとも思えない」

「‥‥ちょっと、何よソレ!?」


ショートカットの子が声を上げた。


「アヤが優しく聞いてるからって、つけ上がってるんじゃないの!?」

「‥サチ」


ショートカットの子を諫めると、アヤと呼ばれた子はため息を吐いて肩をすくめた。



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