夢みたもの
「言いたくない‥って何で?噂が間違ってるなら言える筈でしょ?」

「‥‥」

「私は事実が知りたくて、こうして直接話しに来たんだけど‥」


アヤと呼ばれる子の真剣な表情に話せる余地を感じたあたしは、思い切って口を開いた。


「‥‥説明する必要はないと思う。あたしが何か言っても‥皆信じない。勝手に変な噂が流れるだけだから‥‥」


茶室で聞いた噂話を思い返す。

思わず笑ってしまうぐらい‥ありえない噂が流れていると思うと、噂が自然と落ち着くまでは何を言っても無駄だと思った。


「あたしは、人に非難されるような事はしてない。だから、それ以上の説明をする必要はないと思う」


アヤと呼ばれた子を見据えてそう言うと、彼女はやがて、小さく笑ってあたしから視線を外した。


「‥‥そっか‥」

「‥そっかじゃないよ、アヤ!?」


サチと呼ばれた子が大声を上げてあたしの前に飛び出してきた。


「アヤは優し過ぎるの!!騙されちゃ駄目だよ!?」

「‥‥サチ 良いんだって」

「良くない‥全然良くないよ!!」


サチと呼ばれる子はその場で地団駄を踏むと、掴みかかりそうな程近付いて、あたしを睨み付けた。



< 297 / 633 >

この作品をシェア

pagetop