夢みたもの
どうしたら良いのか分からなくなったあたしを見て、おばさんは小さく苦笑して一息吐いた。


「そうね‥、天才というと語弊があると思うわ。ギフテッドは、生まれつき学習能力が平均より高い事で、何かで成功する事じゃないの」

「‥‥」

「同い年の子供より、ほんの少し物事の理解が早くて、色々な事に興味を持って吸収していく能力があるだけで‥‥基本的には他の子と変わらないわ」


自分に言い聞かせるように頷くと、おばさんはため息を吐いた。


「‥‥確かに『ちょっと頭が良いかな?』って思うような処はあったの。でも、他の子と同じだと思ってた。それがある日‥、主人のクライアントが家に遊びに来て、あの子に目を止めた」

「‥‥」

「調べさせて欲しいって‥、知能検査やら普段の素行なんかをチェックして‥‥」


「信じられる?」そう付け加えると、おばさんは寂しそうに笑った。


「お宅のお子さんは、人口2%の割合で生まれるギフテッドの中でも、さらに上位0.003%に含まれる非常に稀な存在です‥‥って」

「‥‥」



それは、余りにも現実離れした話だった。


人口2%の内、さらに上位に値する貴重な存在。


それが‥航平‥‥?


今までずっと一緒に過ごしてきた。

でも‥‥そんな人があたしと一緒に居て良かったの?

航平を凄く遠い存在に感じて、あたしは何も言えなかった。



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