夢みたもの
「あの‥、やっぱり‥あたしが理由なんておかしいです」


あたしは首を横に振っておばさんを見つめた。


「出会った時から航平は今と変わらなかった。あたしが航平を救ったなんて‥、そんな事ある筈ないです」


「いいえ」


おばさんはいつものように柔らかく微笑んであたしを見た。


「航平を救ってくれたのは、間違いなくひなこちゃんよ?」

「‥‥」

「航平の事で悩みを抱えたまま、とうとう秋を迎えたある日‥、恵さんにひなこちゃんの事を聞いたの」

「‥‥」

「‥ごめんね?おばさん‥ひなこちゃんの生い立ちも経緯も知ってるの。‥‥でも、おばさんに相談せずにはいられないぐらい、あの頃の恵さんは、ひなこちゃんが懐いてくれるか凄く心配してた。だから責めないであげてね‥?」


「責めるなんて‥そんな‥」


あたしは自然とうつむきながら呟いた。


あたしを施設から引き取ってくれた。

あの場所からあたしを救い出してくれた。

その事だけで、どんなに感謝してもし足りないのに。


「両親には、本当に感謝してます。だから‥大丈夫です」


あたしは顔を上げると、おばさんに笑いかけた。

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