夢みたもの
「それで、どうしてあたしが航平を救ったなんて?」


あたしの生い立ちと航平‥そこに共通点があるとは思えない。

相変わらず訳が分からなかった。



「それは、恵さんから話を聞いた時、あの‥‥偶然‥航平も聞いてしまったからなの」


おばさんは申し訳なさそうにあたしを見た。


「ごめんなさい」

「やだ、おばさん謝らないで?」


荷物の陰に顔を隠したおばさんに、あたしは慌てて手を振った。


「航平には、だいぶ前にあたしから話をしてるんです。‥‥でも、それがどうして?」


もう一度首をかしげると、おばさんは一息吐いて口を開いた。


「航平が話を聞いてしまったのは、本当に偶然だったの。‥でも、その時の表情で、航平がひなこちゃんに興味を持った事を知った私は‥‥賭けてみたの」


「‥‥賭け‥?」


「何が航平の興味を引いたのかは分からないわ。でも、興味を持ったという事は、何かしら変化をする時。だから、私は航平に言ったの‥『ひなこちゃんが寂しい思いをしないように、守ってあげて?』って」


「そんな事で‥?」


拍子抜けしたあたしは唖然として呟いた。


子供騙しとしか思えない。

そんな事で人が変わるなんて‥‥

仮に、その言葉が子供の使命感を刺激したとしても、この歳になるまでそれが持続するとは思えない。

まして、他の子より頭の良い航平が、そんな事にいつまでも興味を示すなんて‥‥



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