夢みたもの
「やっぱり 間違いじゃ‥?」


おばさんの気持ちを否定するのは心苦しいけれど、誤解させたままにするのはもっと申し訳なくて、あたしはおずおずとそう言った。


「そんな事で、頭の良い航平が変わるなんて思えません」

「そうね」


小さく頷いたおばさんは、それでもあたしに笑いかける。


「でも‥、他の人より感受性の強い航平にとって、何がきっかけになるかなんて分からないのよ?」

「‥‥」

「それにね?ひなこちゃんがやって来てから、航平は学校に通うようになったの。ギフテッドである事を隠して‥普通の子供としてだけど」

「隠す?」

「欧米と違って、日本では皆と一緒が好まれるでしょう?だから、日本の場合‥ギフテッドの子供は、受け入れられるように周りに同化する事が多いらしいの」

「‥‥」

「元々そこまで変わった処があった訳じゃないけど、航平も例に漏れず‥外では普通の子供になったわ」


「我慢して‥、演技してるって事ですか?」


おばさんを見つめて、あたしは呆然とそう言った。


信じられない。


それは‥‥あたしの知ってる航平が作られたもので、本当の航平は違うと言われている事だ。


幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。

誰よりもあたしを理解してくれている人‥‥

その航平が演じられているなんて、信じられなかった。



< 323 / 633 >

この作品をシェア

pagetop