夢みたもの
「全てが嘘‥というわけじゃないのよ‥?」


おばさんは小さく苦笑してあたしを見た。


「例えば‥、テストでわざと間違ってみたり‥、上手く話を合わせて会話をしたり‥‥そのぐらいなの」

「‥‥」

「きっと‥小学校の頃が一番辛かったと思うわ。‥‥でも、私達にはどうするのが一番良いのか分からなかった」

「‥‥」

「ギフテッドとしての才能を伸ばす事も大切だけど、航平に知識以外の楽しさも知って欲しかった。友達を作って遊んだり‥、誰かを好きになったり‥‥そういう楽しさを知って欲しかったの」


「おばさん‥」


「だから、例えギフテッドである事を隠したとしても‥、私は、航平を小学校へ通わせた事を後悔してないわ。そういうきっかけを作ってくれたひなこちゃんには、凄く感謝してる」


「身勝手な親のエゴでしょうけど‥」そう付け加えると、おばさんはフフッと寂しそうに笑った。


「‥‥そんな、‥そんな事ないです‥」


あたしは何度も首を横に振った。



それしか言う言葉が見つからなかった。



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