夢みたもの
きっと、人生通して幸せな人なんて居ない。

誰もが何処かでつまずいて、悲しみや苦しみを抱えるからこそ、それを乗り越えた時、幸せを感じる事が出来る。


あたしも航平も、おばさんも‥‥皆そう。


だからこそ、幸せにならなくちゃいけないと思う。



そういえば‥‥


母が雅人を妊娠して、あたしが精神的に追い詰められた時‥‥

思い切って自分の生い立ちを航平に話したけれど、全然驚かなかった。

ただ、あたしの頭に手を置いて「そっか‥」と呟いただけ。

拍子抜けしたけれど、同時に、受け入れられたと安心したのを覚えてる。


航平は、出会った時からずっと‥あたしを支えてくれていた。

あたしが辛い思いをしないように、いつもそっと手を差し伸べてくれていた。


改めて、その事が凄く嬉しかった。


「‥‥ホント 凄いなぁ‥航平‥」


あたしは呟くようにそう言うと、髪をかき上げて小さく笑った。


「何でも分かってて、いつも助けてくれるんだもの‥‥」


それが、航平の持っている能力ゆえだったとしても、あたしはそれに何度も助けられてきた。

その事実は、決して変わらない。



「おばさん‥、お邪魔しても良いですか‥?」


航平の家のドアを指差して、あたしはおばさんに言った。


航平に会いたい。

会って、ちゃんと話をしたい。


心からそう思った。



< 325 / 633 >

この作品をシェア

pagetop