夢みたもの
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「そういえばさぁ‥‥今年のクリスマスはどうするの?」


昼食を食べ終え雑誌を眺めていた鞠子が、おもむろに言った。

雑誌に載っているクリスマスケーキの写真を見つめながら、どれが良いか品定めをしている。


「毎年、3人でパーティしてるじゃん?でも今年はさ、どうせならSTRAUBでやろうよぉ?‥‥そしたら、叶君も一緒に楽しめるでしょ!?」


周りに気を使ってか、鞠子は最後の言葉のトーンを落として、あたしと葵を見た。


「それとも‥、ひなこはもう約束してる?」

「‥‥え?」


思わずドキリとして、あたしはまばたきをした。



‥‥クリスマス‥‥


クリスマスは‥‥

航平との約束がある。


「ね、良いでしょ!?お洒落なカフェで、素敵なピアノを聴いてさ〜‥」

「鞠子の意図があからさま過ぎる‥‥却下ね」

「えぇ〜!?何でっ!?」

「そこに行けば、お噂の大人の男性が居る‥って訳でしょ!?何が楽しくてクリスマスに‥、顔を赤くしてボケっとしてる鞠子を見なくちゃいけないのよ?」


肩をすくめた葵は、「それに‥」と話を続けた。


「今年のクリスマス‥‥ひなこは先約があるんだから無理よ」

「‥‥え?」

「そうなの ひなこ!?」


興奮で鼻の穴を膨らませながら、鞠子が身を乗り出してあたしを見た。



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