夢みたもの
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12月23日

学校は冬休みに入った。


約2週間の休み。

冬休みはクリスマスとお正月があって、いつの間にか‥あっと言う間に終わっちゃう。

それでも休みは嬉しくて、皆、自然と浮き足立った。



終業式の後。

鞠子の強い希望でSTRAUBに向かったあたし達は、そこで一足早いクリスマスパーティをした。


先日、美野里さんが頭を悩ませていたクリスマス限定メニュー。

高校生には少し高いそれを注文して、いつもより豪華なクリスマスパーティだった。



「またね ひなこ。崇さんによろしく伝えといてぇ〜」


崇さんに会えなかった事を悔やみながら店を後にした鞠子は、歩く道々、あたしに何度もそう言った。


「鞠子、明日から田舎のおばぁちゃんちに行っちゃうからさぁ‥‥忘れないでねって」

「分かった、分かった」

「絶対‥約束だよ!?」

「はいはい」

「鞠子の事なんか言ってたら‥メールしてね?」

「‥‥」

「あぁ〜、もう本当にうるさいわね!?」


堪り兼ねた葵が、眉根を寄せて鞠子を睨んだ。


「心配しなくても、うるさい鞠子の事を忘れる人なんて居ないわよ!?」

「ひどい!!鞠子、崇さんの前では大人だもん!」

「疑わしいわね」


素っ気なく言い放った葵の言葉に、あたしは思わず吹き出した。


「ちょっとぉ‥ひなこ?」


不機嫌そうな顔を向けた鞠子に、あたしは口元を手で押さえて笑いを堪える。


「ごめん ごめん。ちゃんと伝えておくから‥大丈夫だよ、鞠子」

「約束だからね!」


いつも通りの一時。


その時は

2週間なんてあっという間だと思ってた。


2週間経ったら‥

またいつもと同じ生活が戻ってくると‥‥


いつもと同じ‥

普通の休みだと思ってた。



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