夢みたもの
━・・━・・━・・━

ゆっくり歩いた筈なのに、公園には思ったより早く着いた。


駅前公園は意外と広い。

普段はジョギングをする人や親子連れで賑わっているけれど、クリスマスイブの今日は、午前中という事もあってか殆ど人が居なかった。

噴水の周りは、水量を落とした噴水の水音と、風に舞う落葉がカサカサと音を立てているだけ。

それが一層、寒さと寂しさを感じさせて、あたしはマフラーを口元まで引き上げた。



「航平‥‥まだ来てないんだ」


辺りを見回して一息吐く。


航平があたしより遅いなんて珍しい。

そう思いながら携帯で時間を確認したあたしは、小さく苦笑した。


待ち合わせ時間には、まだ30分近くある。


何だか落ち着かなくて‥‥

時間より早めに到着したのは自分だった。



「やだな‥何か凄く期待してるみたい」


噴水の縁に腰を下ろして、あたしはくるりと周りを見回した。


冷たい風が髪を吹き上げて頬に当たる度、その冷たさに肩が震える。



「‥‥さむ‥」


こんな時。

時間が経つのは凄く遅い。

手にした携帯で、何度も時間を確認しながら、あたしはため息を吐いた。



< 439 / 633 >

この作品をシェア

pagetop