夢みたもの
━・・━・・━・・━

場面が変わる。


ふと気付けば、あたしはまた暗闇の中に立っていた。


まるで、ビデオを再生するように‥‥

暗闇の中に記憶の断片が潜んでいて、現われては消えていく気がする。


「なんなの‥?」


何でも良い。

声に出さないと心が折れそうな気がした。


夢なのに

夢だと分かっているのに

どうしてこんなに辛い‥‥

どうしてこんなに‥‥怖いんだろう。



「‥‥?」


暗闇の中に淡い光が灯る。

それがベット横のサイドテーブルに置かれた電気スタンドの光だと気付くのに、そう時間はかからなかった。


ピンクの花柄の布団を頭まで被って、丸くなっている幼いあたし。


出来るだけ息を殺して‥‥

全身で周りの様子を探る。


‥‥そう

あの人が宿直の時は、夜が来るのが怖かった。



「‥‥ちょっと‥、やめてよ‥!?」


あたしは誰にともなくそう言った。


「もぅいいでしょ!?‥‥分かったから‥止めて!!」


慌ててベットに駆け寄ると、あたしは震える手で布団を揺り動かす。


早く

早く逃げて


怖い事が起こる前に

‥‥早く!!



でも‥‥

ベットの中の幼いあたしはピクリとも動かない。


「早く逃げて!!」


思わずそう叫んだ時。


カチリと音がして、ドアノブがゆっくりと動き始めた。





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