夢みたもの
布団の下で小さくなっていた幼いあたしは、布団が捲られた瞬間、さらに身を縮めた。

その様子を見た園長は、口元に笑みを浮かべる。


「可愛いひなこ。誰にも渡さないよ‥?」


「‥‥」


耳元でそう囁くと、園長はその大きな手で幼いあたしの頭を撫でた。

柔らかい髪の間を指がすり抜ける。

その手が頬に移った瞬間。

ビクッと肩を震わせた幼いあたしは、眉根を寄せて、今にも泣きそうな顔で目を開けた。



「いい子だね。‥‥周りの子に知られたくないだろう?」


そう言って、幼いあたしの口元を押さえると、園長は眼鏡を外してサイドテーブルに置きがてら電気スタンドのスイッチを切った。



『助けて!』



部屋が暗くなる瞬間。

幼いあたしの目から涙がこぼれ落ちた。


『お願い、誰か助けて!‥‥お母さん!!』


幼いあたしの叫び。

それは、頭の中で大きく響いた。



「‥‥やめて‥」


「お願い‥もうやめて‥!!」



暗闇に包まれる。


これ以上は、もう見ていられない。

両腕を抱き抱えてうずくまったあたしは、ただ、そう叫ぶ事しか出来なかった。



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