夢みたもの
「嘘つきっ!!」


ユーリが声を上げた。


「僕‥、僕知ってるんだからっ!!ひなこがどんな酷い目に遭ってたか‥‥全部知ってるんだから!」


「‥‥!?」

「何だって?」

「ひなこを傷付ける人が居る処に、絶対帰したりしない!!」


ユーリの言葉に園長の顔色が変わる。

そして、幼いあたしも目を見開いて‥驚いた表情でユーリを見つめた。



施設での事をユーリに話した覚えはない。

話せる筈がない。


それなのに‥

どうしてユーリがそんな事を言うのか分からなかった。


「‥‥ユーリ?」

「ごめんね ひなこ。知らないフリしてよう‥って思ってたんだけど‥‥」


「何で‥?」



どうして?

どうしてユーリが知ってるの?


知られたくなかった。


汚れた自分。

それをユーリに知られるなんて‥‥


恥ずかしさと共に、汚れた自分を再認識する。

ユーリと自分の違いを思い知る。

寂しくて、悔しくて‥‥色んな感情がごちゃ混ぜになって胸が苦しい。



ただ

一つ確実に分かったのは‥‥

やっと手に入れかけた自分の居場所が、音を立てて崩れていく事だった。




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