夢みたもの
「‥やだ‥何で?」


ユーリを直視出来なくて、幼いあたしは俯きながらながら言った。


「知ってる‥って、何で?」

「ひなこ」

「‥‥」


それ以上の言葉が出てこない。

溢れだした涙を拭う事も出来ずに、幼いあたしはただ涙をこぼした。



「愛情表現だ」


「‥‥?」


突然聞こえてきた言葉。

その言葉に、幼いあたしはハッと顔を上げた。


「ひなこは私の娘だ。愛情を注いで何が悪い?」

「‥‥」

「その目も、頬も体も‥髪の毛一本まで私のものだ。私が愛情を注いで育ててきた。私の好きにして何が悪い?」

「‥‥」

「私はお前を手放さないよ、ひなこ?」


真っ直ぐ向けられる視線。

絡め取られたように、幼いあたしは動けない。

ただ、恐怖で体が小刻みに震えた。



「ひなこ‥‥行こう」


ユーリが強く手を引いた。


「家に帰るよ」


ユーリに手を引かれて、ようやく足が動く。

そして、ぎこちなく園長の脇をすり抜けようとした時。


園長の大きな手が幼いあたしの腕を掴んだ。



< 475 / 633 >

この作品をシェア

pagetop