夢みたもの
徐々に近付いてくる人影。
「幼児虐待‥?傷害罪‥かな?」
園長の前で足を止めたその人は、呟くようにそう言って微かに笑った。
「まさか、日本に戻って早々、こんな場面に出くわすなんて思わなかったな」
細面に癖の無い黒髪。通った鼻に黒いフレームの眼鏡をかけたその人は、園長に穏やかに笑いかける。
「この場合はやっぱり、警察に連絡するべきですよね?」
「何だ‥あんた?」
園長が狼狽えた表情を見せた。
「関係ないだろ!?‥‥この子は、私の施設の子供なんだ」
「ふぅん?」
「部外者は黙っててくれないか?」
「はぁ‥でも‥」
そこで言葉を切ると、その人は幼いあたしの前に片膝をついて腰を下ろす。
そして、幼いあたしの手を取ると、小さく首をかしげた。
「この人と、一緒に行きたい?」
「‥‥」
「酷いことされたの?」
「‥‥」
それは、余りにも自然で‥
余りにも穏やかに笑うから‥‥
幼いあたしは、泣きそうな表情で首を横に振った。
「‥‥行きたくない」
「そっか‥」
「ひなこ!」
園長の手が腕に食い込む。
幼いあたしが思わず顔をしかめると、目の前の男の人は穏やかに笑って園長を振り仰いだ。
「放して下さい。本当に警察を呼びますよ?」
「‥‥」
「この子の保護者だと主張するなら、それに見合った行動をするべきだ」
「‥‥」
「貴方にこの子の保護者たる資格があるか‥、出るところに出て確認してみますか?」
「‥‥くそっ‥!!」
悔しそうな表情で園長は手を放すと、男の人に抱き抱えられた幼いあたしに怒りのこもった視線を送る。
「何と言おうが‥、何処に行こうが‥、お前は私のものだ」
「‥‥」
「また、迎えにくる」
そう言い残すと、園長は背を向けて歩いて行った。
「幼児虐待‥?傷害罪‥かな?」
園長の前で足を止めたその人は、呟くようにそう言って微かに笑った。
「まさか、日本に戻って早々、こんな場面に出くわすなんて思わなかったな」
細面に癖の無い黒髪。通った鼻に黒いフレームの眼鏡をかけたその人は、園長に穏やかに笑いかける。
「この場合はやっぱり、警察に連絡するべきですよね?」
「何だ‥あんた?」
園長が狼狽えた表情を見せた。
「関係ないだろ!?‥‥この子は、私の施設の子供なんだ」
「ふぅん?」
「部外者は黙っててくれないか?」
「はぁ‥でも‥」
そこで言葉を切ると、その人は幼いあたしの前に片膝をついて腰を下ろす。
そして、幼いあたしの手を取ると、小さく首をかしげた。
「この人と、一緒に行きたい?」
「‥‥」
「酷いことされたの?」
「‥‥」
それは、余りにも自然で‥
余りにも穏やかに笑うから‥‥
幼いあたしは、泣きそうな表情で首を横に振った。
「‥‥行きたくない」
「そっか‥」
「ひなこ!」
園長の手が腕に食い込む。
幼いあたしが思わず顔をしかめると、目の前の男の人は穏やかに笑って園長を振り仰いだ。
「放して下さい。本当に警察を呼びますよ?」
「‥‥」
「この子の保護者だと主張するなら、それに見合った行動をするべきだ」
「‥‥」
「貴方にこの子の保護者たる資格があるか‥、出るところに出て確認してみますか?」
「‥‥くそっ‥!!」
悔しそうな表情で園長は手を放すと、男の人に抱き抱えられた幼いあたしに怒りのこもった視線を送る。
「何と言おうが‥、何処に行こうが‥、お前は私のものだ」
「‥‥」
「また、迎えにくる」
そう言い残すと、園長は背を向けて歩いて行った。