夢みたもの
「行ったみたいだね」


園長の姿が見えなくなると、男の人はほっと息を吐いて笑った。


「大丈夫?」

「‥‥」

「崇おじさんっ!!」


幼いあたしが言葉を発するより早く、ユーリが嬉しそうに名前を呼んで抱きついた。




「崇さん‥」


思わず呟いた。

幼い頃に出会っていたなんて。

園長から助けてくれたなんて‥‥覚えていなかった。

STRAUBで初めて会ったと思っていたけれど、本当はこんな昔に出会っていたなんて。



目の前では、ユーリが崇さんの腕にしがみ付くようにして甘えている。


「助けてくれて、ありがとう!」

「可愛い甥の為だからね」


ユーリの頭を撫でながら崇さんはニッコリ笑う。

「おじさん」と呼ぶには余りにも若い。

今と同じで穏やかで柔らかい雰囲気なのに、記憶の中の崇さんは、何処か寂しそうな印象も併せ持っている。

それがとても不思議だった。



「大丈夫?‥えっと‥?」

「ひなこ だよ、おじさん」

「あぁ‥そっか‥」


「ひなこちゃんね」そう繰り返すと、崇さんは幼いあたしに笑いかけた。


「怖かったでしょ?もう大丈夫だよ」


「‥‥ありがとう」


「どういたしまして」


穏やかに笑った崇さんは、ユーリにしたのと同じように幼いあたしの頭を撫でる。

そして、ユーリと2人、幼いあたしの手を引いて、家に向かって歩きだした。




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