夢みたもの
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「崇おじさんはなかなか日本に帰って来ないから‥会えるなんて、凄くラッキーだよ」


暗闇の中で、ユーリの明るい声が響く。


そして

また場面が変わった。



「‥‥?」


「あぁ‥勝手にごめんね」


風呂上がり。

部屋に戻った幼いあたしは、部屋の中に居た崇さんに驚いて立ち尽くした。


「ここ‥前は僕の部屋だったんだ。ちょっと探し物があって‥‥」


「勝手にごめんね」そう付け加えると、少しガサガサと音を立てた後、崇さんは大きな棚の中から古いスケッチブックを取り出した。


「あ、あった‥これだ」

「‥‥?」


首をかしげた幼いあたしに、崇さんはニッコリ笑いかける。


「おじさん‥絵の勉強してるんだ」

「絵?」

「そう。見てみる?」


ベットに腰を下ろすと、崇さんは幼いあたしを手招きした。



「これは、おじさんが高校生の時に描いた作品。まだまだ未熟だなぁ‥」


評価を口にしながら、崇さんはページをめくる。

時々人物画が混じっているけれど、その殆どが風景画。

そして、そのどれもが自己評価は間違っているとしか言い様がない程の出来だった。


「凄くきれい。上手‥」

「そう?ありがとう」


照れ臭そうに笑った崇さんは、スケッチブックを閉じて立ち上がりざま、ふとその視線を止めた。



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