夢みたもの
「ごめん、ひなこ」


父に連絡してくると病室を出ていった母。

変わって枕元に座った航平が真っ先に口にしたのは、その言葉だった。


「どうして謝るの‥?」

「俺が約束に遅れたりしなければ、こんな事にならなかったのに‥‥」

「‥‥」

「肝心な時に、ひなこを守れなかった」


「そんな事ないよ‥?」


背中に鈍い痛みを感じながら、あたしは腕を伸ばす。

航平が慌ててあたしの手を掴んだ。


「航平は、いつも守ってくれてるよ?‥‥そばに居て、あたしを助けてくれてるじゃない?」


「‥ひなこ」


あたしが笑いかけると、一瞬泣きそうな表情を見せた航平は、すぐに優しく笑い返してくれた。



「ねぇ‥航平‥?」


ユーリの事が聞きたい。

でも、それを航平に聞いて良いのか‥‥あたしは少しためらった。


「あの‥‥」

「叶の事?」

「‥‥」


航平がそう言って首をかしげる。

それと同時に、辛そうに顔を歪めたのを見逃さなかった。


‥‥嫌な予感がする。

不安が胸一杯に広がった。


「ユーリは!?」

「‥‥」

「ユーリは無事だよね!?」


さっきと同じように起き上がろうとしたあたしを、航平が慌ててベットに押し戻す。

そして、あたしの手を握ると、航平は深く一息吐いて口を開いた。



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