夢みたもの
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「あ‥、ひなこ」


そろそろ帰ろうという時。

帰り支度を済ませたあたしに向かって、ユーリが小さく手招きした。


「なに?」

「ちょっと」

「‥‥?」


「じゃぁ、私達は先に失礼するわ」


首をかしげるあたしの隣で、葵がそう言って鞠子の手を引いた。


「帰るわよ」

「え‥何で?」

「どうしても」


有無を言わさない口調でそう言うと、葵はあたしに軽く手を振る。


「また明日ね」

「‥うん」


騒がしい鞠子を引っ張って病室を出ていく葵。

その後を追うように、航平が無言で出ていった。


「‥‥あ、」


ドアの向こうに消えていく航平後ろ姿を目で追いながら、あたしは小さくため息を吐いた。

病室に居る間中、一度も目を合わせてくれなかった航平。

相当不機嫌だという事は、その無言の圧力から感じていた。


でも‥‥

どうすれば良かったの?

ずっと不機嫌で、取りつくしまさえなかった。



「ひなこ?」

「あ‥ごめん。なに?」


ユーリの声に、あたしは慌てて振り向いた。



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