夢みたもの
「あれ‥?ひなこ 顔赤い?」


あたしの顔を覗き込んで航平が笑う。


「どうしたの?」

「何でもないっ‥!!」


逃げるあたしの顔をなお覗き込みながら、航平は肩を震わせて笑った。


「ちょっと‥何!?」

「やっぱり可愛いなぁ‥って思って」

「‥‥」


頬の熱さと鼓動の速さを感じながら、あたしは航平を睨むように見上げた。


「もぅ‥からかわないで」

「からかってるつもりなんて無いよ」


笑いを収めた航平は、あたしを真っ直ぐ見つめる。


「ヤキモチ焼いてたのも本当。可愛いな‥‥って思ったのも、本当のキモチだよ?」

「‥‥」

「じゃぁ‥仲直りしよ?」

「‥‥え?」



あたしの前に差し出された航平の手。



「おかえり、ひなこ」



航平の優しい笑顔。

その笑顔に惹き込まれる。


航平を見つめて、あたしはその手に手を伸ばした。



「ただいま」



< 531 / 633 >

この作品をシェア

pagetop