夢みたもの
━・・━・・━・・━

冷たい北風が吹き抜けていく。


身震いする程の寒さの中。

あたしと航平は、寄り添うように歩いた。


街灯に照らされた影が2つ並んでいる事に居心地の良さを感じる。

繋がった手の温かさに、胸の辺りがぽかぽかした。



「へぇ‥叶がそんな事を?」


日記の事を話した時。

航平は驚いたようにあたしを見た。


「うん。読んで欲しい‥って」

「おばさんの処にある事は言わなかったんだ?」

「‥‥うん」

「別に責めてる訳じゃないよ?」


あたしに笑いかけると、航平は小さく呟いた。


「ひなこの幸せの為に‥か」

「ユーリに内容を聞いた方が良かったのかな?」



今更ながら後悔する。

ユーリは内容を知っているのに‥‥


視線を落としたあたしに、航平が笑って首を横に振った。


「別に良いんじゃない?叶だって、ひなこに話そうとしてた訳じゃないんでしょ?」

「うん」


そう言えばそうだ。

日記の所在を気にしていたけれど、内容を話そうという感じじゃなかった。


「ひなこに読んで欲しいんだよ」

「‥え?」

「人から聞くのは話し手の主観が入るからさ?たぶん、ひなこの感じるままに読んで欲しいんじゃないかな?」


「そういう処はさすがだよ」そう付け加えて航平は笑った。



< 532 / 633 >

この作品をシェア

pagetop