夢みたもの
航平の事が好き。


そう自覚したのは最近だった。


ユーリの目が覚めて、全てが元に戻ったら‥‥

そう思っていたけれど、いざ航平を前にすると、その一歩が踏み出せない。



ほんの一言なのに‥‥

『好き』という言葉は凄く重い。

その事を改めて思い知った。



それに大体、まだ全てが元に戻ったわけじゃない。

ユーリは完治していないし、日記の件もある。



今はただ‥

こうしている瞬間が幸せで‥‥大切にしたい。


誰かと一緒に居る事がこんなにも心地良いものだなんて、今まで気付かなかったから。



「どうかした?」

「え?うぅん‥何でもない」


あたしの視線に気付いた航平が不思議そうに首をかしげる。

あたしは慌てて首を横に振って誤魔化すと、何でもないフリをして歩いた。



胸がドキドキする。


でも、それは以前みたいに訳が分からなくて苦しいだけじゃない。

温かくて、心地良いものだった。



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