夢みたもの
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「駄目‥読めない‥!!」


昨夜。

航平から渡された日記を前にして、あたしは‥‥それを開く事すら出来なかった。



「何書いてあるのか分かんないし‥怖いよ」

「大丈夫。俺も一緒に居るから」


航平がそう言ってくれたけれど、あたしはただ‥首を横に振った。


「無理だよ。こんなの急過ぎる」

「‥‥」



だって‥‥こんなにすぐ見付かるなんて思ってなかった。


読む覚悟が無かった訳じゃない。

でも

見付かるのはもっと先だと思ってた。



「ひなこ」

「‥‥」

「このままじゃ、何も変わらないよ?」

「‥‥」

「分かった‥‥じゃぁ、こうしよう?」



小さなため息を吐いた航平は、あたしの手から日記を受け取ると、小首をかしげて笑いかけた。


「明日、俺とデートして、それで読みたいって思ったら、その時は読もう?」

「‥え?」

「今夜一晩、これは俺が預かっておくから」

「え‥でも‥‥」


戸惑うあたしに、航平は優しく笑う。


「ひなこ‥俺はね、別に無理に読ませたい訳じゃないよ?」

「‥‥」

「嫌なら読まなくて良い。日記が全てだなんて思ってないし」

「‥‥」

「叶だって‥‥そう言うと思うよ」


航平はそう言って笑った。


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