夢みたもの
「大丈夫?」


航平があたしの手をそっと握る。


「顔色悪いよ。‥ちょっと休む?」


あたしの顔を覗き込んだ航平。

その心配そうな表情に、あたしは慌てて首を横に振った。


「大丈夫」



過去の事なのに

園長はもう居ないのに

沸き起こる恐怖は消えない。


きっと‥‥まだ実感が湧かないからだ。



「全然‥大丈夫。続き話して?」


そう言って笑うと、航平は心配そうな瞳を向けたまま、優しくあたしの頭を撫でて頷いた。

そんな航平に、佐知先生は優しい眼差しを向ける。


「ありがとう堤さん。もう、ここからは‥‥」


佐知先生は航平にそう告げて小さく頷くと、あたしに向き直って口を開いた。



佐知先生が何度も園長を止めようとした事。

おじさんとおばさんが、あたしの知らない処で一生懸命守ってくれていた事。

日本を離れる事になった時、おじさんとおばさんが園長に話をつけてくれた事。



「あの時。叶御夫妻は、園長先生と取引をされたの」


「取引‥?」


聞き返したあたしに、佐知先生は穏やかに笑って頷いた。



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