夢みたもの
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お母さんが‥‥

今までずっと、あたしを育ててくれた母が‥あたしの実の母親‥‥?



幼い頃の記憶を辿る。


運動会や授業参観。

学校の行事には必ず参加してくれた。


あたしの事をいつも気遣って、優しく‥時に厳しく接してくれた母。

そしてそれは、雅人が生まれてからも何一つ変わらなかった。



優しくて

心配性で

少し頼りない

家族と音楽に愛情を注いで止まない母。

その母が、あたしの実の母親‥‥?


「‥‥」


でも‥‥

そんな事、ある筈ない。

だって、それならどうして、今まで黙ってたの?

言う機会ならいくらでもあった。

隠しておく必要なんてない。



「ひなこ」


その声にハッとして、あたしは慌てて声がした方を振り向いた。


心配そうにあたしを見つめる航平。

その瞳が「大丈夫?」と無言で問いかけてくる。


「あ‥うん、大丈夫。‥‥ちょっと‥ビックリしただけ‥」


そう答えながらも、あたしの意識は航平から逸れていく。

ついさっき、子供達に呼ばれて席を立った佐知先生の話を思い返した。




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