夢みたもの
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「あたしね‥‥ずっとここが怖かったの」



冬の日差しが差し込む小さな庭。

そこに置かれた2人乗りのブランコ。

ペンキが塗り替えられただけで、昔と同じ場所にあるそれは、唯一昔の面影を残していた。



庭に降りたあたしは、ブランコに手を伸ばしながら、呟くように言った。


「ここに来たら‥また怖い事が起こる‥って。だから、思い出したくもなかった」

「うん」

「でも‥過去を受け入れないと前に進めない。だから‥‥航平はここに連れてきてくれたんだよね‥?」


あたしに続いて庭に降りた航平。

あたしと並んで立つと、同じようにブランコの持ち手を握る。

そして、申し訳なさそうな表情であたしを見た。


「ごめん‥ひなこ」

「‥え?」

「今日は、ひなこの事一杯不安にさせて‥‥傷つけた」

「‥‥」

「ごめん」


もう一度そう言って目を伏せた航平に、あたしは何度も首を横に振った。


「そんな事ないよ?‥‥確かに、最初は何で!?って思ったけど、でも、今は‥来て良かった‥って思ってる」

「‥‥」

「あたしこそ、航平にお礼言わなくちゃ‥」

「‥‥ありがとう」


小さく呟いた航平は、あたしにそっと手を差し出す。

そして、その手に伸ばしたあたしの手を握り締めると、穏やかに優しく笑った。


「これからも‥ずっと、ひなこを守っていく。だから‥‥離れないで」


「うん」



離すわけない

もう2度と‥航平から離れたりしない


航平の手を握り返しながら、あたしは何度も心の中で繰り返した。



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