夢みたもの
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その後。

母は色んな話をしてくれた。



母の生い立ちや、あたしを施設に預けた後の事。

今までの時間を取り返すように‥、空白の時間を埋めるように‥‥沢山の話をした。



「お父さんとはね‥、入院してる時に出会ったの」


母が父の話をしたのも初めてだった。


「主治医の先生の友人で‥‥病院のロビーで先生に挨拶した時、たまたま隣に居たのがお父さんだった」

「へぇ‥」

「それから毎日のようにお見舞に来てくれて‥‥」

「お父さんの一目惚れ‥?」


余りにも意外過ぎて思わず声を上げたあたしに、母は小さく笑った。


「お父さん‥凄く照れ屋だけど、ああ見えて行動的だし‥‥心配性なのよ」

「心配性‥?」


首をかしげたあたしに、母は小さく笑った。


「最近の関心事は、ひなこと航平君の仲についてみたい」

「‥え!?」

「今日も2人で出かけるって話したら、2人が付き合ってるのかどうか‥‥真剣に悩むぐらいにね」

「‥‥」


何も言い返す事が出来なくて、ただ「そうなんだ‥」と、もごもごと口を動かしたあたし。

母はそんなあたしを嬉しそうに見つめていた。




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