夢みたもの
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「あぁ‥その話、聞いたんだね」


放課後。

いつものように病院に向かったあたしは、ユーリの顔を見るなり思わず詰め寄った。


「そんな話、聞いてない!!」

「うん‥そうだったね」

「何で?何でそんな重要な事、教えてくれなかったの!?」

「‥‥」

「ずっと一緒に居たのに‥‥」


「酷いよ」そう付け加えたあたしに、ユーリはすまなそうに視線を伏せた。



「ごめん。それを伝えてしまったら‥‥終わりが見えてしまうようで嫌だったんだ」

「‥‥」

「あと何ヶ月‥あと何日‥って、そんなカウントダウンしながら過ごすのは嫌だった。やっと会えたひなことの時間を、大切にしたかったんだ」

「でも‥」


口をつぐんだあたし。

そんなあたしを眩しそうに見つめながら、ユーリは小さく笑った。



「彼とは‥‥上手くいった?」

「‥え?」

「堤君‥だっけ?」

「‥え‥な、何で急にそんな事‥言うの‥?」


思わず声が上ずる。

動揺を隠そうと、あたしは何度かまばたきをしてユーリを見つめた。




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