夢みたもの
「そろそろ行かないと」


その言葉に、あたしはハッとして崇さんを見上げた。



まだ‥‥話したい事が沢山ある。

崇さんの事をもっと知りたい。

あたしの事も‥‥もっと知って欲しい。



「‥‥あの‥」

「ん?」


「あの‥‥また、会えますよね?」


口に出来たのは、その言葉だけ。

他にも言いたい事はあるのに、言葉にならなかった。


「また‥日本に戻って来た時、会って貰えますか?」

「もちろん」


崇さんは大きく頷く。

そして、あたしの頭を撫でて優しく笑った。


「帰ってくるよ」

「‥‥」

「ひなこちゃんも‥遊びにおいで?」

「はい」



頭に置かれた手の重み。

今度会う時まで、この重みを忘れないようにしよう。

そう‥強く思った。



「元気でね」

「崇さんも」



親子の名乗りはしない。

でも、絡み合う視線の中

確かに感じるものがある。


今は、それだけで充分だった。



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