夢みたもの
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季節は巡る。

春が過ぎ‥夏、秋、冬‥‥

いつしか、ユーリがウィーンに発って1年が過ぎようとしていた。



「あ‥、やっぱりここに居た」


ドアが開く音に振り向くと、航平がニッコリ笑って立っていた。


「皆が探してたよ?写真撮るって」

「あ、そっか‥ごめん」


ピアノの上に置いておいた卒業証書と花束を抱える。

その時。

あたしは、ピアノにぼんやり映る自分の姿に目を止めた。



1年前。

ユーリが弾いていたピアノ。

肩を寄せ合ってノートを覗き込んだ日々‥

ドキドキしながら通った音楽室。

その全部が懐かしくて‥、大切な思い出になった。


「ありがとう」


ピアノに、この場所に‥‥そして、遠く離れたユーリに‥

小さく呟くように言った。



「もういいの?」

「うん‥行こ?鞠子に怒られちゃう」


ドアに寄りかかった航平の腕を引っ張ると、航平はあたしの頭にポンと手を置いてニッコリ笑う。


「もう‥式の時みたいに泣くなよ?」

「な‥泣かないよ!?」

「ならいいけど‥」


小さく笑った航平をそっと扇ぎ見る。


この1年で、航平は随分変わった。

前よりもっと‥ずっと大人びて、格好良くなった。

沢山の女子にもてて、その度にヤキモキするあたしを、それ以上の愛情で包んでくれる。


あたしのずっと先を歩いて、あたしにそっと手を差し出してくれる。

昔と変わらないそれは‥‥これから歩む道が変わっても、きっと変わらない。


あたしは、そう信じてる。



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