おうちかいだん






「ひやあああああああぁぁぁぁぁっ!!」





お母さんの足にしがみつき、そのあまりにも不可解な恐怖を身体の中から吐き出すようにして、私は声を上げた。


「な、なになに!? 一体何がどうしたっていうのよ! びっくりするじゃない!」


急に私がしがみついたから、お母さんも半ばパニック状態で。


辺りをキョロキョロと見回して、何があったかを確認しようとしていた。


「そ、そこ! そこから誰かが見てる!」


と、4段目の辺りを指さしたけれど……。


「ど、どこよ! 誰もいないじゃない!」


そこは、いつも通りの階段になっていて……人の顔なんてなかったのだ。


「あ、あれ……」


「もう! また昼寝でもしてたんでしょ! 寝ぼけてるからそんな勘違いするのよ! しっかり目を覚まして、晩御飯を食べなさい!」


私の腕を振りほどいて、お母さんは怒りながら台所に戻って行った。


確かに見たのに。


それに、あの不気味な顔が仮に間違いだったとしても、私の足が切れているのは間違いじゃないのに。


とりあえずかすり傷程度で、そんなに大した傷じゃないから絆創膏でも貼ってご飯を食べよう。
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