おうちかいだん
切られた足を引きずって、なんとか階段を上ろうとする。


這って、手と膝を使って階段を上がっている途中でそれは起こった。


グイッと後ろ髪を掴まれて、上に引っ張られたのだ。


「ひっ! な、なにっ!? 痛い、痛いっ!」


何が何だか意味がわからない。


私の後ろに誰もいるはずがないのに。


いたとしても立つ場所なんてあるはずがないのに!


一体誰がどこから私の髪の毛を引っ張ってるのよ!


私が叫んでも、その力は緩むことなく引っ張り続ける。


まるで、私を階段から転落させようとしているかのように。



ギリ……。



ギリ……。



何か、後ろの方で金属が擦れるような音が聞こえているけど、それを気にしている余裕は今の私にはない!


「い、嫌っ! やめて! やめてよっ!」


後ろを向かないように、必死に手を振り回すと、髪の毛を掴む手が消えたような感覚があって。


私はここぞとばかりに階段を駆け上がった。


足の痛みなんて庇ってる余裕はなかった。


一刻も早くこの場から離れないとということしか考えなかった。


もしも私がこの時、振り返って後ろを見ていたらどうなっていたんだろう。


確かに何かの気配を感じたけれど……。
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