おうちかいだん
部屋に戻ってティシュの箱を手に取り、ベッドに腰掛けて足の血を拭く。


足の甲を切られた……とはいえ、そんなに深くはない、皮膚の表面が切れているような傷。


血もそれほど多くは出てなくて、病院に行かなければならないというほどではない。


「もう! なんなのよ今の! ふざけないでよ!」


私がそう叫んだ理由は、怖かったということもあるけれど、今からお風呂に入るためにまた階段を下りなければならないということにあった。


そしてお風呂から上がったらまた部屋に戻ってくる。


今日だけではない。


明日も明後日も、これから先ずっと続くのだ。


階段を使わない一番の方法は、部屋を変えてもらうこと。


日当たりの良いこの部屋がいいと、私の部屋にしてもらったけれど、まさかこんなことになるなんて思わなかったから。


それでも、部屋の荷物を別の部屋に運ぶ為に、何度階段を往復しなければならないかというのを考えたら、荷物を運び終えるまでにもっと酷い目に遭いそうだよ。


「い、いたっ! え、嘘でしょ……何この傷」


痛みを感じて、剥がしたアキレス腱の絆創膏。


ここも表面だけ切られて少しだけ血が出ていた場所だけど……たった1時間ほどの間に、その傷口はじゅくじゅくに化膿していたのだ。
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