おうちかいだん
一歩、さらに一歩。


一段一段ゆっくりと階段を下りる。


怖いとわかっている場所に行かなければ、今よりももっと怖いことが起こりそうだと考えてしまうと……行かざるを得なくて。


手すりを掴んで踏み出した右足で、次の段を踏み締めた瞬間。


身体の中から、プチッという音が聞こえたような気がして、その痛みと共に私は顔をしかめた。


音と痛みの発生源は右足。


踏め締めると同時に、足の甲の傷口から膿が飛び出したのだ。


「う、嘘……さっきまで何ともなかったのに……」


こんなに早く化膿するなんてありえない。


まだあれから数分しか経っていないのにどうして。


なんて、考えている余裕すらなくなっている。


早く……傷口を洗い流さなきゃ。


放っておけばどんなに酷いことになるか、もう想像もしたくなくて。


祈るような思いで再び階段を下り始めた。


と、同時に感じる、全身が凍り付くような悪寒。


さらに……。








ジャラジャラジャラジャラ……。










私の頭上から、鎖が擦れるような音が突然聞こえ始めたのだ。







一体何が……何が起こっているのか。


確認したいけれど、顔を上げるのが怖い。
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