おうちかいだん
そう言って、階段を上がろうとした瞬間。





ガシッと足首を掴まれ、階段で倒れそうになった。





足首を掴むその手はお母さん。


「悪い子……悪い子ね。お母さんの言うことを聞かずに無視するつもりでしょ? 今すぐ話を聞きなさい今すぐ!」


何かおかしい。


お母さんはどちらかと言えば面倒くさがりというか、私に対してこんなに執着はしない人のはずなのに。


そう思って目を向けてみると……。









「ひいっ!」








そこにいたのは、お母さんとは思えないほど恐ろしい顔をしたお母さん。


怒りに満ちているような目を私に向けて、フーフーと呼吸も荒く、私を行かせまいと……いや、引きずり下ろそうとさえしている。


「悪い子悪い子悪い子悪い子! お母さんの言うことを聞きなさい! 聞きなさい!」


力任せに私の足首を引っ張るけれど、手すりの柱が邪魔をして思うように腕を動かせないでいる。


「や、やめて! 離して!」


こんなのお母さんじゃない!


あの幽霊が化けているに違いない!


必死に脚をばたつかせて、何とかその手を振りほどいた私は、2階へと駆け上がった。
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