おうちかいだん



「ただいま」



学校が終わり、そう言っても返事のない家に帰ると、私はすぐに三面鏡がある部屋に向かった。


居間の前を通り過ぎると、新聞を読んでいたおじいちゃんがチラリと私を見て微笑む。


廊下を歩き、階段を上がってお母さんの部屋。


朝に使ったままだから、当然三面鏡は開いていて、私の帰りを待っているかのように鎮座していた。


「なんか……気持ち悪い」


朝までは当たり前のように使っていたのに、どうしてこんなことになってしまったのか。


昔から私の周りでは、こういった不可解なことが起こっていたような気がする。


定期的に、怖い現象が私の周りで起きているのだ。


今回もそれなんだと考えると、気が滅入ってしまう。


「大丈夫……メイク道具を持って、別の部屋に移るんだから。もうこの三面鏡は使わない。だから大丈夫」


昔から、こういうことが起こっても、結局同じことをしなければならなかったり、何度も怖い目に遭わなければならなかったから、今回はそんなことにならないようにしよう。


俯いたまま三面鏡に近付き、そこに置いてあった必要なメイク道具を手に取る。


視線を感じる……。


無視しようと決めても、じっと見られているのは精神にくるよ。
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